ビジネスマンの活力を230%アップするノウハウを伝えます@中沢雅孝レポート
12月号


■海外に学ぶ、「少子化」との闘い方。

 日本人の出生数は、2018年に約91万8400人と、これまで最少だった前年を下回り統計史上最少を記録しました。一人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数“合計特殊出生率”も1.42で3年連続の下落。人口水準の維持に必要とされる最低ラインの2.07を大きく下回っています(厚労省)。

 現代日本にとって喫緊の課題、それが少子化問題です。子ども手当や子育て支援など、様々な対策がなされるも、有効な手立てとはなっておらず、ますます少子化に拍車がかかるばかり。

 しかし、海外に目を向けると、対策が功を奏し、出生率が上がっている国もあります。例えば、数々の家族政策の改革を推し進め、“少子化対策の優等生”といわれるフランスでは、1994年に1.66だった出生率が、2017年には1.88まで持ち直しました。その6割が、結婚していない親からの出生でした。“ユニオンリーブル(自由縁組み)”というカップルの生き方が一般化しているフランスでは、法律婚にとらわれない“事実婚カップル”が社会的に認知されているからです。しかも、その子どもは、嫡出子(ちゃくしゅつし)・非嫡出子の区別なく、同等の権利を有することが法制化されています。つまり、子が生まれて育つことに、親の結婚のカタチは関係ないとされ、社会全体に“産んでも大丈夫”という空気ができているということです。

 具体的な支援策としては-----2子以上を養育する家庭には20歳まで“家族手当”が支給されます。1人増えるごとに、また年齢とともに支給額が加算。日本の児童手当と似ていますが、1子の家庭には支給されないところがミソです。さらに、妊娠・出産から産後のリハビリにかかる費用までが全額無料のほか、乳幼児手当、片親手当、不妊治療手当などといった諸手当が手厚いだけでなく、基本的な学費はほとんどタダ同然。また、2002年から施行された“男の産休制度”(14日間)は父親の7割が取得するまでに浸透。フランスの少子化を食い止める対策は、産めば産むほど“お得”なシステムになっているのです。

 一方で、これらの政策への支出が膨らみ、フランスの財政事情は厳しいといわれています。しかし、少子化解消への支出は国の将来を見据えた投資とみなされ、子育てを社会全体で支えるための意義あるコストとして支持されているとのこと。あくまでも子どもを軸に制度設計されているフランスならではで、親を軸とした日本の子育て支援策とは発想が異なるようです。

 “結婚”と“子どもを持つ”ことの結びつきが強い日本の場合では、結婚しているカップルが子どもを産まないのではなく、子どもを産める適齢期の男女が結婚しなくなったことが近年の少子化の主因のようです。いずれにせよ、フランスでの事例がそのまま日本にフィットするとは思えません。海外の諸制度の受け売りではなく、日本独自の少子化への対策が求められています。

※参考:



厚生労働省          http://www.mhlw.go.jp/
内閣府            https://www.cao.go.jp/
日本経済新聞(2019年4月1日付)
朝日新聞(2019年6月8日付)
日経ビジネス電子版(2019年6月26日付)