ビジネスマンの活力を230%アップするノウハウを伝えます@中沢雅孝レポート
7月号


■作り手から、直接消費者に。売り方を革新する、「D2C」の拡大。

 最近、アパレルや化粧品業界を中心によく見聞きする「D2C(DtoC)」という言葉。「Direct to Consumer」の略で、メーカー(ブランド)が自社で企画・製造した商品を自社の販売チャネル(通販などのECサイト)を通じて消費者に直接販売するビジネスモデルのことです。

 D2Cに参入することで得られるメリットは数々あります。
 まず、仲介業者への手数料や実店舗の運営によるコストを削減でき、その分、質の良いものを低価格で販売できる点。また、自社のECサイトを通じ、生の顧客データを独自に直接収集できること。これを、スピーディーに商品開発などのマーケティングに反映。売れ行きをすぐに把握でき、少ロットでの製造・販売が可能となるため、効率的な商品ラインアップを組むことができます。さらに、ブランドの理念や世界観をじかにユーザーに伝えられること。これこそがD2Cの最大のメリットといえます。ユーザーが買い物をする過程で、自然とブランドのストーリーに入り込み、その結果、ブランドに共感するコアなファンの囲い込みを実現。商品的にも、ニッチなニーズに刺さる製品が提供でき、ファンとの強い連帯感を生みやすいという、デジタルネイティブ世代の消費行動の“好み”と一致します。

 D2Cと、これまでの通販との一番の大きな違いは、D2Cが、サイトの立ち上げから顧客への情報発信、広告、マーケティング、販売まですべてを“デジタル”で完結している点です。

 成功事例の代表ともいえるのが、メンズコスメの「BULK HOMME(バルクオム)」。自社のECサイトに集客し、初回限定の特価で商品の認知、定期購入コースによるファンの囲い込みと、D2Cの特性をフルに活かしています。

 また、身長155cm以下の女性をターゲットにしたD2Cブランド「COHINA(コヒナ)」や、昨年[伊藤忠]がD2Cに乗り出して話題となったアパレルブランド「JAMAIS VU(ジャメヴ)」など。

 ほかにも、農業・水産・加工品の生産者が、個人や飲食店などに直接商品を販売する一次産業のD2Cプラットフォームづくりも広がっています。

 有機野菜や肉、魚などの産直サービス“食べチョク”を運営する[ビビッドガーデン](東京)。農水産物のD2Cを手掛ける[ポケットマルシェ](岩手)には、2000人以上の農家や漁師が登録しています。

 “好きだから買う”“あの人のつくるものは美味しい”----マスから個へと売り方を変えるD2C。小さなベンチャー企業でも大手に勝てる可能性をはらんでいるところが大きな魅力です。もちろんその実現には、自分で認知獲得を図り、高度なブランディングが求められます。選ばれるECサイトをつくるための宣伝活動やマーケティングへのコスト負担を含む重要度が、より大きくなることは言うまでもありません。

※参考:



バルクオム         https://bulk.co.jp/
コヒナ           https://cohina.net/
ジャメヴ          https://jamaisvu.co.jp/
ビビッドガーデン      https://vivid-garden.co.jp/
ポケットマルシェ      https://www.pocket-marche.com/
日経МJ(2020年3月18日付)