ビジネスマンの活力を230%アップするノウハウを伝えます@中沢雅孝レポート
7月号


■安全に食べられるのに廃棄。静かに需要増える「期限切れ食品」。

 形が崩れたりした規格外や賞味期限切れの加工食品、家庭・飲食店からの食べ残しといった、まだ食べられるのに捨てられる食品を指す「食品ロス(フードロス)」。2019年度の食品ロスは約643万トン(農水省)……と言われてもピンときませんが、この量が東京都民の1年間に食べる量(約621万トン)を上回っていると聞くと驚くしかありません(東京都環境局)。おまけに、それらを廃棄するためのコストが年間2兆円にも及ぶとのこと。明らかに、莫大な経済的損失につながる非合理的な状況といえます。

 現在、ほぼすべての加工食品には期限表示がされています(未開封が条件)。
 「賞味期限」とは、品質が変わらず“おいしく”食べることができる期限の目安で、菓子類やカップ麺、缶詰といった、劣化しにくく、その期日を多少過ぎたからといって食べられないというほどではないような食品が対象です。

 一方の「消費期限」は、表示されている期日を過ぎたら食べない方がいいという安全期限のこと。生鮮品や総菜など、日持ちしないものが対象となっています。

 しかし、賞味期限切れ=健康に害を及ぼすと混同している人が少なくなく、それが廃棄という行為に拍車をかけている一因とも。また、大量の食品ロスを生み出している背景には、長年にわたる小売業界の“商習慣”が根深く横たわっているといわれています。それは、“3分の1ルール”というもので、流通過程において製造日〜賞味期限までの合計日数を3等分し、残りの3分の1になると賞味期限前でも返品・廃棄されるという習わし。この、品質に問題がないにもかかわらず店頭から撤去せざるを得なくなるという商習慣に関しては、近年、メーカーや小売業者の間でも疑問視されており、見直しが検討されています。

 2016年にデンマークのコペンハーゲンで誕生した、賞味期限切れ食品専門スーパーが火付け役となって、世界中で賞味期限切れ食品の格安販売というコンセプトが拡散しました。日本でも、賞味期限切れの商品をメーカーや卸、小売店から仕入れ、激安価格を集客の目玉にする異色のスーパーが登場し、にぎわっています。ちなみに、賞味期限切れ食品の販売は、法律に抵触することはありません。

 消費者庁の調査によると、“賞味期限が過ぎてもすぐに捨てず自分で判断する”人が約51%と前年比7ポイント増で、賞味期限に対する寛容度は年々高まっているようです。だからといって、誰しもが期限切れ商品を買った方がいいというような単純な話ではなく、期限切れを気にしない人のための選択肢が用意されている、ということが重要なことです。

※参考:



農林水産省         http://www.maff.go.jp
東京都環境局        https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/
消費者庁          https://www.caa.go.jp/
日経МJ(2020年3月30日付)