ビジネスマンの活力を230%アップするノウハウを伝えます@中沢雅孝レポート
12月号


■避難生活でも、おいしく! 少しずつ進化しています、「非常食」。

 近年、たて続けに起こる大規模自然災害のリスクに備える動きが、国、自治体、企業ともに高まっています。災害に見舞われるごとに、「防災食品」、いわゆる「非常食」の市場規模も拡大するという、ちょっと複雑な思いにさせられる現実。

 非常食とは、備蓄を想定し、長期保存できることを条件に、ガスや火を使わず、水や湯を使って、あるいはそのまま食べられるものを指します。最近は、被災した時こそ、おいしいもの、温かいものを求める傾向にあるため、各メーカーは、非常食=味気ないというイメージを払拭すべく、地道な商品開発に取り組んでいます。共通のキーワードは、“おいしい非常食”。

 加工食品メーカーの[ホリカフーズ](新潟)は、温かい食事をと、カレーや牛丼、シチューなどのメニューにひと工夫。付属の、ライスや具材が入った容器を袋に入れ、発熱剤のアルミ粉末を加えて少量の水(雨水でも可)を注ぐと、瞬時に沸騰し20分ほどでほかほかの食事が出来上がります。

 食品加工・卸の[日乃本食産](兵庫県三田)は、食物アレルギー対応の温かい災害食と「日本ハラール協会」認証のハラール食を開発。

 “甘いものが欲しかった”という被災者の声を受けて開発されたのが、[トーヨーフーズ](東京)の「どこでもスイーツ缶」シリーズ。チーズケーキ、ガトーショコラなど。常温保存で3〜2年。

 まったく畑違いの業種からの参入もあります。ご飯やおかず、デザートまでそろった「IZAMESHI(イザメシ)」シリーズを開発したのは、建築金物を扱う老舗企業[杉田エース](東京)。こだわったのは非常食っぽくない“味”で、2016年「第一回日本災害食大賞」の“おいしさ部門”で、「名古屋コーチン入りつくねと野菜の和風煮」が
グランプリを獲得するほど。

 今後の非常食市場の課題は、一般家庭への普及にあります。大部分が自治体や企業向け需要で、家庭用は2割弱と推計されています。そこで、メーカーや政府は現在、非常食の保管について「ローリングストック」を推奨しています。普段から非常食を食べ、減った分を買い足して補充していくという方法です。そのためにも非常食は、ますます美食化へと舵を切ることが求められています。

 一方、2013年に施行された『帰宅困難者対策条例』によって企業の備蓄の気運が高まったかにみえましたが、実践している企業はいまだ半数にも満たないといわれています。

 これからも、高い精度で続発が予想される自然災害に備え、非常食市場の潜在需要は年々、拡大の一途を辿るということになりそうです。

※参考:



ホリカフーズ       http://www.foricafoods.co.jp/
日乃本食産        http://matutake.com/
トーヨーフーズ      https://www.toyofoods.co.jp/
杉田エース        https://www.sugita-ace.co.jp/
総務省          http://www.soumu.go.jp/
日本経済新聞電子版(2019年4月16日付/同4月23日付)
朝日新聞(2019年9月2日付)