季節が秋めいてくると、野菜売り場には多くのさつまいもが並び始めます。60種ほどの品種があるさつまいもは、焼き芋はもちろん、サラダや煮物、スイーツなど多彩な食べ方が楽しめる、使い勝手の良い野菜の1つですね。
さつまいもは、1600年頃に中国から琉球(沖縄県)、そして薩摩(鹿児島県)に伝わったとされています。それで名前も「薩摩」の「芋」。鹿児島は現在も全国トップの生産量を誇ります。最近では食感から「ほくほく系」「しっとり系」「ねっとり系」と分けられ、それぞれの特長を生かしてさつまいもを使い分けている人も多いのだそうです。
「ほくほく系」は、関東は紅あずま、関西は金時がその代表。いわば王道のさつまいもでオールマイティーです。「しっとり系」は、紅はるか。甘さが自慢の注目の品種です。ほくほく感も残しつつ、しっとりとした甘さに多くのファンがいるとか。そしてここ数年ブームになっているのが「ねっとり系」です。代表的なのは種子島特産の安納芋で、蜜芋ブームの火付け役でもあり、蜜がたっぷりの甘さで大人気です。
さて、さつまいもというと頭に浮かぶのが「栗よりうまい十三里」のフレーズ。これは一体何なのでしょうか。時代はさかのぼって江戸時代のお話、江戸の町には食べ物を提供するさまざまな屋台があり、その中に焼き芋屋があったそうです。使うさつまいもは、江戸から十三里(約52キロ)離れた埼玉県の川越から仕入れていました。そこで焼き芋屋は、栗(九里)より(四里)うまい十三里(川越の芋)という足し算のシャレで商売をしていたのだとか。ほかにも栗(九里)にちょっと及ばない「八里半」、唐から伝来したことに由来する「からいも」、中国語で甘い芋という意味の「かんしょ」など、多くの呼び名があるのもユニークです。
10月13日は「さつまいもの日」ですが、これも十三里にちなんで、川越いも友の会が定めたものです。いろいろな品種のさつまいもから「推しいも」を見つけるのも楽しそうです。
※参考:
農林水産省 https://www.maff.go.jp/
かごしまの食ウェブサイト https://www.kagoshima-shoku.com/
一般社団法人安納いもブランド推進本部 http://annouimo-brand.com/
ホームセンターバロー https://homecentervalor.co.jp/
谷田青果 http://www.tanidaseika.com/
サツマイモまんが資料館 https://sweetpotato.info/
データ出典/農林水産省 令和元年産かんしょの収穫量(全国農業地域別・都道府県別)
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