ドローンといえば、TV番組での空撮映像のイメージが一般的ですが、ほかにも物流や危険な場所の点検、農薬・肥料散布や種まき、建築・土木の測量など、多岐にわたって活用されており、もはや社会インフラの欠かせないツールとしての役割を担っています。
そんな、多くの可能性を含むドローンに、さらなる魅力的なカテゴリーが加わりました。“エンターテインメント”という分野です。数百から数千のドローンをプログラミング制御し、機体のライトで夜空に文字や図形、アニメーションを描く“ドローンショー”。2021年、「東京オリンピック」の開会式で披露されたドローンショー(1824機を使用)が全世界に生放送されたことで話題となり、認知度が一気に高まりました。ショーの制作費用は、絵コンテから開催場所の現地調査、ドローンの飛行申請まで、すべての工程を含んで、1機3万円から、300機(900万円)以上からの受注となります(日本最大のドローンショー運営会社[レッドクリフ]の場合)。
そして今、このドローンショーが“広告コンテンツ”になり得ることに着目し、実際に取り入れている企業が増えてきています。
昨秋、大阪の夜空に突如出現した、全長100mの巨大な目-----[ロート製薬]が10月10日の「目の愛護デー」に合わせて行ったドローン広告で、帰宅途中の人々を驚かせました。黒目の部分が右へ左へ動いて目の運動を促す仕掛けも。使ったドローンは300機で、リアルイベントのパワーが実感できる広告となりました。
昨年11月、横浜赤レンガ倉庫で行われた「コカ・コーラ クリスマスドローンショー」では、12月25日にちなんで1225機のドローンによる約20分という、国内最大規模のショーが開催されました。夜空にサンタやトナカイなどが星座のように次々と描かれ、最後に披露されたのが“QRコード”でした。見ている人が空に向かってスマホで読み込むと特設サイトへ飛び、ショーの動画のクリスマスカードが友人や家族に送れる仕組み。
花火大会とのコラボ企画も、より高い認知効果が見込めると好評です。
[オリエンタルランド]では、「東京ディズニーリゾート」の40周年を記念したドローンショーを昨年、全国5カ所の花火大会とコラボして実施。約700機のドローンによってディズニーのキャラクターが描かれ、例えばミッキーが手を上げるのを合図に花火が打ち上がるといった連動で、大勢の人が釘付けになりました。今後は、花火の横に協賛企業のロゴを表示させることも可能に。それがSNSや動画サイトでシェアされることで拡散効果が期待できると共に、海外向けに発信することも可能になってきます。
『日経トレンディ』が発表した“2024年ヒット予測ベスト10”の1位に選ばれたのが「ドローンショー」でした。ドローン先進国、中国の背中を追いながら日本でもドローンショーの運営会社は増えてきています。エンタメの要素を多く含み、イベントの一環として活用できるドローン広告は、新しい広告媒体として、今後、間違いなく浸透していくと思われます。
※参考:
レッドクリフ https://redcliff-inc.co.jp/
ロート製薬 https://www.rohto.co.jp/
日本コカ・コーラ https://www.coca-cola.com/jp/ja/
オリエンタルランド https://www.olc.co.jp/ja/
日経МJ(2023年12月27日付)
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