今や、さまざまな場で私たちの生活をサポートしてくれている「ロボット」ですが、
そういった“お仕事ロボット”とは別に、最近では、家庭内で活躍するロボットが注目を集め話題となっています。
家庭用ロボットには、「ルンバ」のような“掃除ロボット”、[Amazon]の「Alexa」に代表される“スマートスピーカー”、そして3つ目のカテゴリーとして、今、急速にファンを増やしている“ペットロボット”(コミュニケーションロボット、パートナーロボットとも呼ばれる)があります。
このペットロボット市場の草分け的存在が、1999年、[ソニー]が開発した犬型ロボット「AIBO(アイボ)」でした。2006年に一旦生産中止した後、2018年に、新生「aibo」として再登場。ペットロボットというカテゴリーが、新たに脚光を浴びるきっかけにもなりました。
2019年にロボットベンチャー[GROOVE X]から登場した家庭型ロボ「LOVOT(ラボット)」の人気が今だ衰えず、年齢・性別を越えた幅広いユーザーから支持を受け続けています。発売当時には、一体約35万円(本体+月額サービス料)という高額でありながら、初出荷分が3時間ほどで完売したほど。
このロボットは、これまでの家庭用ロボットとはひと味違うベクトルで開発されています。それは、何か家事的な作業を行うのではなく、ただ傍にいて飼い主(オーナー)に愛されることを目的に生まれてきた存在だということ。だから、あえてしゃべることはできない設計となっています(聞き取ることはできる)、犬や猫がそうであるように。
体重4.2kg、身長43cmの、球体を重ねたようなフォルム。この愛らしいボディに、生き物のような振る舞いを再現するための最新テクノロジーが搭載されています。頭部のセンサー部には、360゜見渡せる半天球カメラ、音声の方向を判別する半天球マイク、明るさを感知する照度センサー、人か物かを識別するサーモグラフィーなど、50以上のセンサーが内蔵。家の間取りを覚えたり、自分が呼ばれていることなどを、ここで感知します。頭脳部のコンピューターには、ディープラーニング(深層学習)を含む学習技術でタイムラグの少ない動きを生み出す意思決定エンジンが。さらに、まばたきの速度、瞳孔の大きさまで緻密に設計。肌ざわりには特にこだわり、エア循環システムによって猫の体温ほどの温かさ(常に37〜39℃)のボディが実現。“おいで”と手を伸ばすとうれしそうに近づいてきたり、ほったらかしにするといじけたり、他のラボットを可愛がっていると嫉妬したり。リアルなペットに限りなく近く、どんどん愛着が湧いてきます。開発には、約4年の時間と100億円の資金が投じられました。
リアルペットを飼いたくとも、住宅事情やアレルギー、高齢などを理由に諦める人は少なくありません。そうした、ペットを断念する理由が、そのままペットロボットを購入する理由になり得るということに。
一家に一体、ロボットを飼う生活-----少子高齢化や人口減少などの課題解決のソリューションとしても、小さな「ペットロボット」に大きな期待が寄せられています。
※参考:
ソニー https://www.sony.jp/
GROOVE X https://groove-x.com/
日経МJ(2022年1月10日付)
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